2017年08月07日

GIL EVANS LIVE AT SWEET BASIL

昨夜の豪雨はすざましく、白馬には洪水警報が発令され、洗濯船の前の道路が激流と化してしまったほどだ。
昼だと言うのに暗くなるほどの不穏な怪しい雲が北アルプスに寄り添いながら大雨を落とし、これが低地に向かって一気に押し寄せることになる。
何年か前には白馬岳に降った大雨が激流となって白馬大雪渓を下り雪渓をズタズタにしてしまったことがあった。
このような暗い豪雨の中で思い出すアルバムはギル・エバンスのスィート・ベイジルでの2枚組ライブ盤だ。
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レストラン兼ライブハウスのこの店の「甘いバジル」と言った名前とは正反対とも言える不穏な空気に包まれた演奏は暗い熱気が充満していて蒸し暑さが伝わってくるようだ。
1.パラボラ
2.ブードゥー・チャイルド
3.オレンジ色のドレス
4.プリンス・オブ・ダークネス
5.ブルース・イン・C
6.グッドバイ・ポーク・バイ・ハット
7.空より高く
最初の曲の導入部分から真っ黒な雲が湧きでてきて呑み込まれてしまう。
どれもこれもアグレッシブな演奏でずぶ濡れになってしまうのは間違いなく、激流に流されないように気をしっかりもって対応することが肝心だ。
JBL M9500が吠えるので後ずさりしてしまう。しかもカートリッジはGEのVR1000だ。
音圧に体に力を入れて持ち応えなければならないほどだ。
クール・ストラッティンのようなジャケットデザインを黒い筆でかき消しているのは、クールを殴り消すイメージかもしれない。
このような豪雨・激流にも負けない、かつ物おじしない性格を築こうとする方に押しつける至極の一枚です。

どうもスイート・ベイジルというところは激しく暗い雲を湧きだすところらしい。
このようなアルバムもある。
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さすがに心身ともに疲れるので良く眠れるのは幸いなことだ。
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2017年07月25日

日暮し

きょうは雨模様の中、一時の小休止になるとひぐらしの鳴き声が響き渡っている。
秋の季語に使われるひぐらしなのだが、白馬での実際は7月の中頃から鳴き始めるのが通例になっている。
この鳴き声で思い出すのは今や知る人ぞ知るとなった感の3人組フォーク・グループ「日暮し」だ。
メイン・ボーカルの榊原女子の歌声は軽く風にのって爽やかに流れてくるので気持ちが緩む。
代表曲と言えば「い・に・し・え」だろう。
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アルバムでは「ありふれた出来事」になる。
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SIDE1
おだやかな午後
いにしえ
日傘
ありふれた出来事
君の息吹を
SIDE2
オレンジ色の電車
街の影
夏のこわれる頃
冬の電車
春にゆられて
出来事
これらの曲に共通しているのは押しつけがましいところが無いのと日常の現象をとらえている点で絵画でいえば印象派になるだろう。
ほとんどの曲を作詞・作曲している武田精一さん(写真左)は、今ではジャズ評論家として雑誌「アナログ」でジャズのレコード紹介を掲載しているその人だ。
いにしえのドーナッツ盤もアルバムも入手は至難なのだが、最近、アルバムを復刻したので手に入るかも知れない。
雨音の休息中ぼぉーとひぐらしを聴きながら、ほっこりしたい方に押しつけできるお勧めのEP盤とアルバム一枚です。


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2017年04月08日

日本デビュー

昭和52年度のはじまりは今にしても忘れることのできないことがあり特別に感慨が深くなっています。
出入りしていたジャズ喫茶に集まる仲間内の噂話で、「どうもアート・ペッパーが来日するらしい。カル・ジェイダーのグループのゲストとしてだそうだ。パンフレットに名前が無いのは入国審査によっては危ういかもしれないということらしい。」と、まことしやかに話が流布していきました。
居てもたっても居られないので早速チケットの手配に走ったのは言うまでもありません。
しかしながら、東京郵便貯金会館ホールはよいのですが、初日公演日の4月1日はとても無理なので泣く泣く5日の特等席を目一杯コネを使いまわし手配しました。1日は例年人事異動があり移動先部署では歓送迎会などがあるので外すことはまかりならんことになっています。この後も事務の引き継ぎやらで5日といえども早く退社できるかどうかは当日まで解らないのですが、ここはペッパーの入国とともに賭けにでることにしました。
運よく1日の初日公演に行った仲間の話からペッパーは無事入国できたとのことで万歳しました。
カル・ジェイダー・グループの演奏が第T部で終了し、第U部になってからアート・ペッパーが登場し、この時ばんらいの拍手が鳴りやまず、暫くの間ペッパーは立ち尽くしていたのだそうです。「演奏は素晴らしかった。」と聞きもしないのにいうものだから、5日は何があっても絶対に聞きに行く決心をしたのです。
当日は勝手知ったる東京郵便貯金会館なので、第U部が始まるころを狙ってあれこれ理由をつけて退社し駆けつけました。
前から5番目のど真ん中の席なのでペッパーが目の前に現れたときは我を忘れて歓迎の声をあげてしまったものです。
演奏が始まると誰もが興奮状態になってしまうほど、ペッパーのアルトが滑らかに凄みをもってさく裂します。
復活前だけのペッパーファンにぜひ聴かせたいものですね。
ちょうどこの時のライブが収録されていて、90年にポリドールから、
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95年にビクターから、
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「東京デビュー」もイカしています。
CDでの発売がありました。内容は一緒なのですが余りに感激したものですから両方購入してしまったではないですか。
この後ペッパーが82年に亡くなるまで何回となく来日していますが、初来日の翌年3月の山形公演がCDになっていて、これも聴き逃すことはできない演奏になっています。
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このころのペッパーの演奏にはジョン・コルトレーンの影響が垣間見られ、驚くほどの音圧が聴く者を圧倒します。
本当のペッパー・ファンを自認するかたに強く押しつけますが、入手できるかどうかは定かではありません。

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2017年02月28日

ピアソラへのオマージュ

詩人パブロ・ネルーダの「不純な詩について」の言葉を借りれば、ピアソラの音楽は「人間の欠陥だらけの混乱状態そのものであり・・・古い衣服のように汚く、肉体と同じように、植物の染み、恥、皺、観察、夢、覚醒、予言、愛と憎しみの宣言、ばかばかしさ、衝撃、牧歌、政治的信念、否定、疑い、断言が染みついている」なのだそうです。
つまりは、全くもって「人間そのもの」だと言い得ているようで、身に詰まる思いがしてくるのは「人間らしさ」なのだろうか。
クラシック音楽界の鬼才ギドン・クレメールの「ピアソラへのオマージュ」は、クレメール自身が生涯最高と語っているアルバムとの事です。
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ヴァイオリニストがバンドネオンやピアノの奏でるタンゴに乗ってパブロ・ネルーダにかわり語りかけているようです。
演奏曲は、
1.ミロンガ・アン・レ
2.ヴァルダリート
3.オブリビオン
4.鮫
5.カフェ1930~(タンゴの歴史)より
6.キンテートのためのコンチェルト
7.孤独
8.ブエノスアイレス午前零時
9.嫉妬
10.エル・ソル・スエニョ
11.ル・グラン・タンゴ
特に「孤独」、「嫉妬」は必聴です。
なるほど、クレメールにはこのようなアルバムもあったと思い返すことができます。
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バロック作品から近代スチェドリンまでよくもまあー弾き揚げたものだと感心し拍手したことを思い出しました。
ピアソラ自身のアルバムは中々入手困難なのですが、「モダンタンゴの20年」で自らの戦いの歴史を再現している場面に出会えます。
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鬼才から鬼才へのオマージュですが人間であることの感動を率直に味わえます。自身を人間であることを忘れていたり確かめたい方に一押しです。
posted by みのさん at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2016年11月21日

時をかけぬけた少女

テレビの音声が自然に耳に入ってきて、なんと原田知世が49才になったとのこと。
これだけでは無くて、驚くべきことにブルーノート・東京で歌を12曲も披露したのだそうだ。
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確か14才でデビューしたので、かれこれ35年もの時が経過していることになる。
自分のことはさておいて、少女もとうに小母さんにまで成長したのかと感慨深くなる。
私の中では歌の下手なアイドル三人衆のなかの一人として、レコードをかけるときは何時もはらはらしているのだ。それが何と歌手紛いのように聴衆の面前で歌うとは。
まあー、最近は歌が巧いとかは問題ではないのかもしれない。
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それにしても、時をかけぬけた少女は11月28日に50才に到達する。
もう50才以上はほぼ同年代なのだから、なんか身近な存在になったような気がしてきた。
何時音程が外れてもおかしくない原田知世の「時をかける少女」を心臓の丈夫な方に限定してお勧めします。
クリームたっぷりの珈琲を飲みながら聴くのもおつです。
posted by みのさん at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2016年08月10日

マーラー交響曲第4番ト長調

マーラーの交響曲は第5番や大地の歌もよいのだが、何と言っても第4番が名作だとおもっている。
それは全交響曲のなかで最もおおらかであり爽やかで楽しいからだ。
マーラーの全交響曲の主題となるのは「死」なのだが、第4に関しては天国の所為か明るくなっている。
今回、幾多のアルバムがある中で、レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック/レリ・グレスト(ソプラノ)を押しつけたい。
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このアルバムの素晴らしさは極めつけで、第一楽章から壮大な管弦楽が美しく鳴り響き、メリハリの利いた演奏が楽しめる。また、第4楽章で独唱するグレストの可憐な天国からのメッセージ、ヴァイオリンの旋律の美しさなど聴きどころ満載となっている。
確かに第2楽章は死神の踊りで死神の弾くヴァイオリン独奏はややグロテスクと感じないわけではないが、オーケストラの色彩に支えられて面白くもある。
第1楽章は特に聴きどころになっていてマーラーの得意な鈴の音をともなったフルートが異国(天国)ムードを醸し出す。マーラー独特のメルヘンチックな色彩感をオーケストラが魔法を使って撒き散らしているようだ。
第4楽章は天国の生活を歌ったもので、天使たちは人間と同じように、美味しいものを食べたり・飲んだり、恋をしたりしているようだ。
深田甫氏の歌詞の対訳を抜粋すると、
「私たちがたのしんでいるのは天国の喜び・・・実に楽しく朗らかな私達・・・踊ったり飛んだり 跳ねたり、歌ったり・・・お酒も天国の酒蔵ではまるでただ・・・類まれな美味しい野菜もあって庭ぞのにはえている・・・音楽も地上のいずこを探してもこちらのものと肩を並べるものはない・・・一千一万の処女たちも思いのままに踊っている・・・」
と、やりたい放題できる天国の生活。
生への執着よりも死への憧憬が勝っている方に特にお勧めできる一枚です。
なお、この第4楽章の歌を聞くたびに何時も思い起こされるのは以下のレコードです。
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「・・・天国よいとこ一度はおいで 酒は美味いし ねえちゃんは綺麗だ・・・」
と。
しかしながら、やりすぎると「ほなら でていけー」となり戻されてしまいますので気を付けなければいけません。せっかく長い階段をあがったのにも関わらず踏み外してしまい、生への執着を余儀なくされます。
なお、気を付けてほしいのはバーンスタインにはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮した同じ第4がありますが、これはいけません。大切な第4楽章に天使だからといってボーイソプラノを起用しています。
天国の天使の歌声はねえちゃんに限ります。
真夏の夜の夢ごこちが悪夢になっては台無しではないですか。
大型オーディオシステムで聴くマーラーの第4交響曲は天国に何時でも連れて行ってくれます。
posted by みのさん at 15:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2014年08月27日

雨に唄えば(ロジャー・ケラウェイ)

秋雨前線の停滞のためかこのところ毎日と言ってよいほど雨降りになっています。
庭の苔はとても喜んでいますが、日照不足を嘆いている花々も少なからずあります。
私はというと外出をあきらめて家の中でじっと本を読むか、音楽でも聴いて気分を紛らわせることになりますが、このようなときには必ず聴くことにしているCDがあります。
ゆったりした気分にしてくれる至宝のアルバムの一枚です。
『SINGIN‘ IN THE RAIN』ROGER KELLAWAY
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@PEOPLE WILL SAY WE`RE IN LOVE
ADANCING IN THE DARK
BLULLABY OF BROADWAY
CSINGIN` IN THE RAIN
DSOON IT`S GONNA RAIN
ETRY TO REMEMBER
FI`VE GROWN ACCUSTOMED TO HER FACE
GDARN THAT DREAM
HWE KISS IN A SHADOW
IA SLEEPIN` BEE
JTIME ON MY HANDS
KI WANT TO BE HAPPY
の全12曲で、
ロジャー・ケラウェイのピアノ
ジョン・ゴールドビーのペース
テリー・クラークのドラムス によるピアノ・トリオ演奏。
J、Kにのみヴァレリー・ポノマレフのトランペットが入ります。 

Cの曲もよいのですが、特にDの曲はお気に入りです。
今日のような、しっかり雨が降っていたかと思うと急に止み、薄日が差し込んできたりしますが、また直ぐに雨降りが始まってしまうような、このようなコロコロ天候が変化する時にぴったりした曲です。
ケラウェイのスロー・テンポのケラケラ・コロコロしたピアノを雨の日に退屈している方に押しつけます。
posted by みのさん at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2014年03月25日

人間まがい 山崎ハコ

暗く陰鬱な深い情念の唄は聴く者の胸に鋭く突き刺さる。
今回は、その歌唱力・表現力で地獄に引きずり込まれてしまう山崎初子(ハコ)の「人間まがい」を押しつける。
洗濯船のホーム・ページでも同様に押しつけることにした。

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1979年のアルバムながら高音質であり以下の内容とともにハコの真骨頂と断言できるものだ。

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SIDE-A
1.誰が呼ぶ
2.きょうだい心中
3.ムラサキの花
4.からす

SIDE-B
1.呪い
2.暗闇
3.三つの花
4.心だけ愛して

すべてがハコだが、特にA面の「きょうだい心中」をお勧めしたい。平常心を保ち続けることは極めて難しいことうけあい。
B面の「呪い」については、「日本一暗い唄」とのお墨付きが付いているほどだ。

押しつけとは関係ないのだが、1981年の映画「青春の門」のサブ・テーマ・ソング「織江の唄」で涙した輩も多いと聞く。

ハコ自身も言っている。
地獄でお会いしましょう「心だけ愛して」と。
posted by みのさん at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2013年08月06日

ART TATUM & BEN WEBSTER

世間は猛暑だというのに白馬は毎日雷注意報とスコールで涼しいどころか体が冷えてしまい朝方の気温が20℃に届かず油断(毛布1枚で寝ている)すると風邪をひくことになります。
雨降りの中風邪をひくと体調が思わしくなるのと同時に聴力と気力が減退してしまうのでお皿洗いなどして気を紛らわせます。何枚かお皿を洗濯していると思い出の一枚がでてきます。そうすると聴力と気力が充実してきて頭痛・肩こり・耳鳴りなど忘れてターン・テーブルにお皿をほいほい運んでいきます。
ここで注意しなくてはいけないのが一枚の内容です。過激なものはいけません。頭痛が二乗倍になって帰ってきます。リラックスした良い演奏でバラードであれば完璧に救われます。

THE TATUM GROUP MASTERPIECES
ART TATUM - BEN WEBSTER - RED CALLENDER - BILL DOUGLASS

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気難しいアート・テイタムは様々な演奏者とのセッションを残していますが協調という点で今一つでした。このためかピアノ・ソロやトリオに良い演奏がありました。
ところがベン・ウェプスターとの共演ではリラックスしたとても素晴らしい演奏になっています。
1956年録音のアルバム原盤レーベルはヴァーヴですが、このアルバムは1975年に再発売されたパプロ盤です。この盤ではプロデューサーのノーマン・グランツによって曲の配列が変更になっています。
アルバムの一曲目「風(邪なし)と共に去りぬ」から気分がほぐれます。

A side

1.Gone With The Wind
 映画の公開に先立つ宣伝用に使用された。ウェブスターの最初の一音が心地よい風を吹き付けてくる。
2.All The Things You Are
 ミュージカルのヒット曲。
3.Have You Met Miss Jones?
 ミュージカルの主題曲。
4.My One And Only Love
 良く知られた曲ですが失念。

B side

5.Night And Day
 コール・ポーターの曲。 
6.My Ideal
 映画「巴里・・」の主題歌。
7.Where Or When
 ミュージカルの主題曲。

全ての曲がテイタムの湧き出て小川を流れいくようなピアノとそこに吹き抜けていくウェプスターのそよ風のようなサックス、優しさと情熱がこめられている永遠の名演です。
ジャズ好きになりたい方と風邪気味の方に自信を持って押しつけます。
posted by みのさん at 12:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2013年04月02日

Violin of the Magical Sphere

白馬にも春が忍び寄ってきました。
通りすがる風も心地よくなってきました。
このような気分にはベートーベンのヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調「春」を聴くに限ります。

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丁度いつぞやから気になっていたヴァイオリストの佐藤久成が昨年リリースしたCDがありました。
フリッパ・ジョルダーノのような色気をヴァイオリンが奏でます。
アルバム・タイトルが「魔界のヴァイオリン」と意表を衝いていますので、このタイトルだけでは皆さん敬遠してしまうのではないかと要らぬ心配をしてしまいました。

@ ベートーベン:ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調作品24 「春」
   春一番ですね。ほのぼのとしていると時には風も噴き付けてきますが柔らかく感じます。
A ブラームス:コンテンプレーション
   ハイフェッツの編曲ですがとてもメロディアスです。
B ファリャ:スペイン舞曲
   クライスラーの編曲でリズミカルから一転ゆったりとした抑揚あるメロディーに変身します。
C マリー:金婚式
   この演奏は小学校で聴いた演奏よりメランコリックです。
D ドルドラ:思い出
   思い出とはこれ程にも鮮明なのでしょうか。
E クライスラー:プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ
   クライスラーのオリジナル曲ですが華やかなバロック音楽のようです。
F マスネ:タイスの瞑想曲
   タイスの瞑想が乗り移ってきそうです。
G モンティ:チャールダーシュ
   余りにもの緩急がやがて気持ちよくなります。
H ショパン:ノクターン変ハ短調
   ミルシティン編曲のむせび泣くようなショパンが聴けます。

要らぬ心配を余所に、実は「春」もよいのですがモンティの「チャールダーシュ」は特に感激ものです。春が来たかのように心がうきうきしました。
このヴァイオリンの表情の豊かさは尋常ではありません。魔界からの使者なのでしょうか。
押しつけの二枚目、春一番の「魔界のヴァイオリン」を押しつけます。
posted by みのさん at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚

2013年03月21日

THOMAS BECKMANN CHARLIE CHAPLIN

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チェロ奏者トーマス・ベックマンとピアノ奏者松下佳代子のご夫婦によるチャップリンの生誕100周年映画音楽集です。チェロとピアノの会話が素晴らしい内容になっています。
@ SMILE
   1936年「モダン・タイムス」、やさしいチェロ演奏が映画の最終シーンを思い出します。
A TEXAS-TEXAS BORDER
   1923年「偽牧師」、ユーモラスな演奏がより哀愁を感じさせます。 
B TANGO NATASHA
   1966年「伯爵夫人」、Fまでチャップリンの最後の作品で愛をテーマにしています。
   ロシア貴族出身の踊り子ナターシャ(ソフィア・ローレン)を謳っています。
C AMBASSADOR RETIRES
   同映画、帰国するアメリカ大使(マーロン・ブランド)と踊り子ナターシャの愛の歌。
D THIS IS MY SONG
   同映画の挿入歌セ・マ・シャンソン。
E A COUNTESS FROM HONG KONG
   同映画の伯爵夫人のテーマ曲。
F ZIGEUNER-THE THREE LADIES
   同映画、3人の貴婦人とは、ソフィア・ローレン、ティビー・ヘードレン、マーガレット・ルザフォードに捧げられています。
G BEAUTIFUL WONDERFUL EYES 
   1921年「キッド」、このうえない美しい曲想を奏でています。
H NAPOLI MARCH
   1940年「チャップリの独裁者」、リズミカルな演奏でご夫婦の息が見事に調和されています。
I DOGSLIFE-SONG TRISTE
   1918年「犬の生活」、悲しいメロディーがとても印象に残ります。
J BATH TUB NONSENCE 
   1957年「ニューヨークの王様」、ラグ・タイムのような演奏になっています。
K MANDOLIN SERENADE
   同映画、しっとり心に響く名演奏です。 
L LIMELIGHT
   1952年「ライムライト」、老道化師と若いバレリーナを謳ったチャップリンの不滅のメロディーです。
チャップリは映画で成功する前にチェロ奏者になりたいと思っていたとのこと、このためかどの曲もチェロ用に作曲されたかのような調べになっています。
「独裁者」の中でチャップリンの心情・精神を床屋が代わって言っています。(清水俊二訳)
機械は貧富の差を作り
知識を得て人類は懐疑的になった
思想だけがあって感情がなく
人間性が失われた
知識より思いやりが必要である
思いやりがないと暴力だけが残る

この言葉も胸に響きます。
この一枚、トーマス・ベックマン/チャーリー・チャップリンに捧ぐ を押しつけます。
posted by みのさん at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 押しつけの一枚