通りすがる風も心地よくなってきました。
このような気分にはベートーベンのヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調「春」を聴くに限ります。

丁度いつぞやから気になっていたヴァイオリストの佐藤久成が昨年リリースしたCDがありました。
フリッパ・ジョルダーノのような色気をヴァイオリンが奏でます。
アルバム・タイトルが「魔界のヴァイオリン」と意表を衝いていますので、このタイトルだけでは皆さん敬遠してしまうのではないかと要らぬ心配をしてしまいました。
@ ベートーベン:ヴァイオリン・ソナタ第5番へ長調作品24 「春」
春一番ですね。ほのぼのとしていると時には風も噴き付けてきますが柔らかく感じます。
A ブラームス:コンテンプレーション
ハイフェッツの編曲ですがとてもメロディアスです。
B ファリャ:スペイン舞曲
クライスラーの編曲でリズミカルから一転ゆったりとした抑揚あるメロディーに変身します。
C マリー:金婚式
この演奏は小学校で聴いた演奏よりメランコリックです。
D ドルドラ:思い出
思い出とはこれ程にも鮮明なのでしょうか。
E クライスラー:プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ
クライスラーのオリジナル曲ですが華やかなバロック音楽のようです。
F マスネ:タイスの瞑想曲
タイスの瞑想が乗り移ってきそうです。
G モンティ:チャールダーシュ
余りにもの緩急がやがて気持ちよくなります。
H ショパン:ノクターン変ハ短調
ミルシティン編曲のむせび泣くようなショパンが聴けます。
要らぬ心配を余所に、実は「春」もよいのですがモンティの「チャールダーシュ」は特に感激ものです。春が来たかのように心がうきうきしました。
このヴァイオリンの表情の豊かさは尋常ではありません。魔界からの使者なのでしょうか。
押しつけの二枚目、春一番の「魔界のヴァイオリン」を押しつけます。