
信時 潔(のぶとき きよし)作曲 北原 白秋作詞 交声曲「海道東征」は、初代天皇になった神武東征を題材にしている。
神武天皇の即位から2,600年にあたる年であった昭和15年にその奏祝曲としてつくられたもので、戦前は全国各地で演奏されたそうだが、敗戦後には題材やつくられた経緯もあってGHQの指導のもと長く封印されてきた。
しかしながら、戦後70年の平成27年になって作曲者信時潔の生まれた大阪の地の公園を期に目出度く復活したのだ。
当然、戦前は78回転のSP盤8枚組であったのだが、今やCDで鑑賞できるという幸せは言葉に尽くせない。
作詞にあたって北原白秋は晩期にあたり、すでに目が見えなくなっていて「古事記」「日本書紀」を家族に読んでもらったり、書くこともできなかったので口述筆記してもらったそうだ。
なにはともあれ、学校での歴史教育では無視されていた日本の建国史に触れることができるとともに、戦後失われてしまっている日本の文明・文化に触れる一端になることが美しい交声独唱・合唱の言葉からにじみ出てきているのが解る。
自分を見つけたいと思う人には必聴の一枚になることだろう。