思い切ってチョイスしたのは、チャイコフスキー大序曲「1812年」。

ご存じのとおり、1812年にナポレオンが60万の大軍をひきいてロシアに攻め入り、やがてロシア軍との戦いの中で寒さと餓えのために完全に敗退したことに因んでいる。音楽の中にはフランス国家やロシア国家が使われていて解りやすい内容にもなっている。
数枚ある「1812年」のアルバムから至上最強と言われてる、テラーク・デジタルが一躍世界に知らしめた驚異の録音アルバムをEMTプレーヤーにセットした。
テラークの技術陣はチャイコフスキーの表現意欲を徹底して再現するために、大砲は完全保存されている19世紀当時の実物が3本使われている。また、ロシア軍の勝利を祝う鐘も本物を使用した。
エリック・カンゼル指揮シンシナティ交響楽団の演奏はフル編成のうえで1878年に建てられた由緒ある本拠地のシンシナティー・ミュージック・ホールで収録された。このホールは音響の美しさは全米でも指折りの存在と言われている。
これほどのレコードを長岡鉄男氏は「TELARCの名前を天下に知らしめた猛烈録音のレコードである。大砲の衝撃波がアーム、カートリッジ、スピーカーを強襲する。」といっています。
また、巷ではレコード史上もっとも過激で「まともな再生は不可能」とまで言われました。
確かに大砲部分のレコードの溝幅を見ると1mm近くもあり恐怖心が湧いてきます。
響き渡る大砲を忠実に再現できるか、オーディオ・システムの真価が問われますが、デットな部屋のJBLM9500及び他の装置はびくともしません。EMTのTSD15カートリッジとアームはしっかり拾い上げ、スーパー・ツィーターは綺羅星のごとく火花を撒き散らしています。鐘の音は部屋中に響いています。JBL46cm2本のスーパー・ウーハーがズギューンと唸りを挙げましたが、空砲の空気が横切って行った程度です。
因みにCDでの再生と比較してまみしたが、リアリティではアナログ盤が一枚上手でした。

誰かどたどたと地階に降りて来て「何処かで花火をあげている。太鼓もたたかれている。」と言っています。
地震もあったはずですが黙っておきましょう。
このアルバムには、
イタリア奇想曲と、
コサックの踊り〜マゼッパより
が収録されていますが、「1812年」の衝撃ばかりではなくとても良い音と演奏ですのでお見逃しなく。
もやもやした気分を大砲で吹き飛ばしたい貴方に超お勧めの、とっておきの一枚です。